学校・家庭・地域の連携 開かれた学校の推進等に関する諸提言等



年  月 審議会等機関名 提言名等 提   言   概   要   等
昭和40年



国連ユネスコで
ポールラングラン提唱


生涯教育



ユネスコ本部の成人教育国際委員会に於いて、ポール・ラングラン
 「生涯教育」(lifelong integrated education)と題する報告書を提出。
   integratedとは統合の意味
 教育を、時間的統合(縦の統合)と空間的統合(横の統合)の視点から再構築の必要性を説く。
昭和46年



中央教育審議会



今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について  生涯教育の観点から全教育体系を総合的に整備すること等を提言。
 特に、「これまで教育は、家庭教育・学校教育・社会教育に区分されてきたが、ともすればそれが年齢層による教育対象の区分であると誤解され、人間形成に対して相互補完的な役割をもつことが明らかにされているとはいえない」と、学校・家庭・地域3者の連携の必要性を提言。
昭和59年〜62年





























臨時教育審議会






























第1次答申
 1)学歴社会の弊害の是正、2)大学入学者選抜制度の改革、3)大学入学資格の自由化・弾力化、4)六年制中等学校の設置、5)単位制高等学校の設置について提言。

第2次答申
 1)生涯学習体系への移行、2)初等中等教育の改革(徳育の充実、基礎・基本の徹底、学習指導要領の大綱化、初任者研修制度の導入、教員免許制度の弾力化)、3)高等教育の改革(大学教育の充実と個性化のための大学設置基準の大綱化・簡素化等、高等教育機関の多様化と連携、大学院の飛躍的充実と改革、ユニバーシティ・カウンシルの創設)、4)教育行財政の改革(国の基準・認可制度の見直し、教育長の任期制・専任制の導入など教育委員会の活性化)などを提言。
 特に、生涯学習体型への移行及び生涯学習のための家庭・学校・社会の連携の必要性を提言。
 学校教育の役割と限界を明確化し、家庭や地域の教育力の回復と活性化を図る」こと、「地域の要請に応じて学校の機能や場を地域住民に開放することは、学校の大きな役割である。」と記している。

第3次答申
 生涯学習体系への移行のための基盤整備、教科書制度の改革、高校入試の改善、高等教育機関の組織・運営の改革、スポーツと教育、教育費・教育財政の在り方などについて提言。
 特に、開かれた学校と管理・運営の確立では、単なる施設の開放という範囲を超えて、学校施設の社会教育事業への開放、学校の管理・運営への地域・保護者の意見の反映等をはじめとする開かれた学校経営への努力を提言。 

第4次答申 
 教育改革を進める視点として、
  個性重視の原則 生涯学習体型への移行 変化への対応 の3点を提言。
平成3年4月







中央教育審議会







新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について





第III部「生涯学習社会への対応」で
 ○学校も生涯学習を推進するために積極的な役割を果たすことが期待されている。
 ○人々の生涯学習に対する需要が高まるに伴い、学習成果の評価やそれを社会の中で活用したいという要請も大きくなると考えられる。
 ○学校も生涯学習を振興する観点からさまざまな施策を実施するとともに、生涯学習の成果の評価についても多様な仕組みを開発することが必要と考えられる。
 等を提言。
平成8年6月































中央教育審議会


































第一次答申
21世紀を展望した我が国の教育の在り方について




























第2部 学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方
地域社会における教育を充実させるための体制の整備
○地域の人々の意向を反映しつつ、地域社会における学校外の様々な活動の充実について連絡・協議を行い、ネットワークづくりを進めるため、市町村教育委員会等が核となり、PTA、青少年団体、地元企業、地域の様々な機関・団体や学校等の参加を得て、地域教育連絡協議会を設けることを提唱したい。
○開かれた学校づくり
 子供の育成は学校・家庭・地域社会との連携・協力なしにはなしえないとすれば、これからの学校が、社会に対して「開かれた学校」となり、家庭や地域社会に対して積極的に働きかけを行い、家庭や地域社会とともに子供たちを育てていくという視点に立った学校運営を心がけることは極めて重要なことと言わなければならない。
 学校は、自らをできるだけ開かれたものとし、かつ地域コミュニティーにおけるその役割を適切に果たすため、保護者や地域の人々に、自らの考えや教育活動の現状について率直に語るとともに、保護者や地域の人々、関係機関の意見を十分に聞くなどの努力を払う必要があると考える。
 いじめ・登校拒否の問題などでの学校の対応ぶりを見ていると、学校内での出来事や学校としての取組などをできるだけ外部に漏らすまいとする傾向が強いように感じられることがある。学校は、家庭や地域社会との連携・協力に積極的であってほしい。
 学校がその教育活動を展開するに当たっては、もっと地域の教育力を生かしたり、家庭や地域社会の支援を受けることに積極的であってほしいと考える。
 例えば、
 地域の人々を非常勤講師として採用したり、あるいは、地域の人々や保護者に学校ボランティアとして協力してもらうなどの努力を一層すべきである。
 学校は、地域社会の子供や大人に対する学校施設の開放や学習機会の提供などを積極的に行い、地域社会の拠点としての様々な活動に取り組む必要がある。
 これからの学校施設については、学校教育施設としての機能を十分確保することはもちろん、家庭や地域社会とともに子供たちを育てる場、地域の人々の学習・交流の場、地域コミュニティーの拠点として、それにふさわしい整備を推進していく必要がある。
 等を提言。
平成10年
    9月















中央教育審議会答申
















今後の地方教育行政の在り方について














第3章 学校の自主性・自律性の確保について
○地域住民の学校運営への参画
 学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域が連携協力して教育活動を展開するためには、学校を開かれたものとするとともに、学校の経営責任を明らかにするための取組が必要である。
 学校の教育目標とそれに基づく具体的教育計画、またその実施状況についての自己評価を、それぞれ、保護者や地域住民に説明することが必要である。
 学校・家庭・地域社会が連携協力し、相互補完しつつ一体となって子どもの健やかな成長を図るため、各学校においては、PTA活動の活性化や学校区内の各地域における教育懇談会の開催などにより家庭や地域との連携が図られている。
 今後、より一層地域に開かれた学校づくりを推進するためには学校が保護者や地域住民の意向を把握し、反映するとともに、その協力を得て学校運営が行われるような仕組みを設けることが必要であり、このような観点から、学校外の有識者等の参加を得て、校長が行う学校運営に関し幅広く意見を聞き、必要に応じ助言を求めるため、地域の実情に応じて学校評議員を設けることができるよう、法令上の位置付けも含めて検討することが必要である。
 等を提言
平成12年
   12月


































教育改革国民会議


































教育を変える
    17の提案


































○地域の信頼に応える学校づくりを進める
 学校、特に公立学校は、努力しなくてもそのままになりがちで、内からの改革がしにくい。地域で育つ、地域を育てる学校づくりを進める。単一の価値や評価基準による序列社会ではなく、多様な価値が可能な、自発性を互いに支え合う社会と学校を目指すべきである。
提言
(1)保護者は学校の様々な情報を知りたがっている。開かれた学校をつくり、説明責任を果たしていくことが必要である。目標、活動状況、成果など、学校の情報を積極的に親や地域に公開し、学校は、親からの日常的な意見にすばやく応え、その結果を伝える。
(2)各々の学校の特徴を出すという観点から、外部評価を含む学校の評価制度を導入し、評価結果は親や地域と共有し、学校の改善につなげる。通学区域の一層の弾力化を含め、学校選択の幅を広げる。
(3)学校評議員制度などによる学校運営への親や地域の参加を進める。良い学校になるかどうかはコミュニティ次第である。コミュニティが学校をつくり、学校がコミュニティをつくる。
(4)親が学校の活動やPTA、地域の教育活動に時間を取れるようにするなど、企業も協力する。

○新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する
 新しいタイプの学校の設置を可能とし、多様な教育機会を提供する。新しい試みを促進し、起業家精神を持った人を学校教育に引き込むことにより、日本の教育界を活性化する必要がある。
提言
(1) 略
(2)研究開発学校を地域指定できるように拡充し、地域との連携を図りながら新しい試みを実施する。
(3)地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校(“コミュニティ・スクール”)を市町村が設置することの可能性を検討する。
 これは、市町村が校長を募集するとともに、有志による提案を市町村が審査して学校を設置するものである。校長はマネジメント・チームを任命し、教員採用権を持って学校経営を行う。学校経営とその
成果のチェックは、市町村が学校ごとに設置する地域学校協議会が定期的に行う。
平成13年
    1月




文部科学省




21世紀教育新生プラン
学校、家庭、地域の新生〜学校が良くなる、教育が変わる〜
○新しい時代に新しい学校づくりを
12 地域の信頼に応える学校づくりを進める
15 新しいタイプの学校“コミュニティ・スクール”等の設置を促進する。
   新しいタイプの学校の可能性や課題等を検討するために、モデル校による実践研究を14年度予算で実施することが明記される。
平成13年
   12月








総合規制改革会議








規制改革の推進に関する第1次答申







第1章 重点6分野について
4 教育
 コミュニティ・スクール導入のための法制度整備に向けた実践研究の推進
 新たなタイプの公立学校である「コミュニティ・スクール(仮称)」の導入については、
地域や保護者の代表を含む「地域学校協議会(仮称)」の設置、教職員人事や予算使途の決定、教育課程、教材選定やクラス編制の決定など学校の管理運営について、学校の裁量権を拡大し、保護者、地域の意向が反映され、独自性が確保されるような法制度整備に向けた検討を行うべきである。
 と提言。
平成14年
    3月









閣議決定










規制改革推進
3カ年計画










26 コミュニティ・スクール導入のための法制度整備に向けた実践研究の推進(文部科学省)
○新たなタイプの公立学校である「コミュニティ・スクール(仮称)」の導入については、地域のニーズに機動的に対応し、一層特色ある教育活動を促し、また、伝統的な公立学校との共存状態を作り出すことにより、健全な緊張感のもと、それぞれの学校間における切磋琢磨を生み出し、結果的に学区全体の公立学校の底上げにつながることが期待されるものであることから、地域や保護者の代表を含む「地域学校協議会(仮称)」の設置、教職員人事や予算使途の決定、教育課程、教材選定やクラス編制の決定など学校の管理運営について、地域との連携を進め、学校の裁量権を拡大するとともに教育成果等に対する厳格なアカウンタビリティを併せ持ち、保護者、地域の意向が反映され、独自性が確保されるような法制度整備に向けた検討を行う。
平成16年
    3月





































































































































中央教育審議会





































































































































今後の学校の管理運営の在り方について



































































































































第2章 地域が参画する新しいタイプの公立学校運営の在り方について
1 地域が公立学校の運営に参画することの意義について
○ 学校は地域社会を基盤として存在するものであり、充実した学校教育の実現には、学校・家庭・地域社会の連携・協力が不可欠である。
 これまでも、地域に開かれた信頼される学校づくりを目指して、全国の学校で様々な取組が進められてきた。
 例えば、平成12年に導入された学校評議員制度は、既に半数以上の学校で導入されている。また、学校側からの動きだけでなく、保護者や地域社会からの学校への働き掛けも活発化してきた。
 例えば、学校支援のための様々なボランティア活動などの取組も各地で進みつつある。
○ このような中で、近年、学校と地域社会との連携・協力を更に一段階進め、地域の力を学校運営そのものに生かすという発想が出てくるようになった。
 平成12年の教育改革国民会議報告においては、「新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する」という提言が行われ、文部科学省では、平成14年度から、モデル校を指定して、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究を実施している。
 また、政府の規制改革推進3か年計画(再改定)においては、「コミュニティ・スクール導入のための制度整備」に関して、法令上の規定を設けることについて平成15年中に検討し結論を出すことが決定されているところである。
○ 各学校の運営に保護者や地域住民が参画することを通じて、学校の教育方針の決定や教育活動の実践に、地域のニーズを的確かつ機動的に反映させるとともに、地域ならではの創意や工夫を生かした特色ある学校づくりが進むことが期待される。
 学校においては、保護者や地域住民に対する説明責任の意識が高まり、また、保護者や地域住民においては、学校教育の成果について自分たち一人一人も責任を負っているという自覚と意識が高まるなどの効果も期待される。
 さらには、相互のコミュニケーションの活発化を通じた学校と地域との連携・協力の促進により、学校を核とした新しい地域社会づくりが広がっていくことも期待される。
○ 地域の参画による学校運営は、これまでの実践研究の成果等にも示されるとおり、現行においても、学校評議員制度など各種の制度の柔軟な活用によって、かなりの程度実現することが可能であり、今後ともすべての学校において、地域に開かれた学校づくりを目指した取組を推進することが求められる。
○ 今後、公立学校をより多様で魅力的なものとするためには、学校評議員制度に関する運用の改善を図るなど、これまでの取組を更に発展させることが必要である。
 開かれた学校づくりの原点として、保護者や地域住民が学校に対する様々な意見や要望を、幅広く、また気軽に相談できるような窓口を拡充していくことも重要であろう。
 併せて、こうした既存の枠組みを超えて、新たに保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って主体的に学校運営に参加するとともに、学校の裁量権を拡大する仕組みを制度的に確立し、新しい学校運営の選択肢の一つとして提供することも必要と考える。
 今後、こうした新しい学校運営の在り方について更に詳細な制度設計を行った上で、明確な法令上の根拠を与える必要がある。

2 制度化に当たっての基本的な考え方について
(1)制度導入の対象
○ 保護者や地域住民が一定の権限を持って運営に参画する新しいタイプの公立学校(以下便宜上「地域運営学校」という。)に関する制度の導入の対象としては、地域とのつながりが特に深い小学校や中学校が中心になると考えられるが、地域の実情に応じ、学校を設置する地方公共団体の教育委員会の判断で、幼稚園や高等学校などを対象とすることも考えられる。
○ 地域運営学校は、学校運営の在り方の選択肢を拡大するための手段の一つとして新たに制度化すべきものである。したがって、その導入は、すべての公立学校に一律に求められるものではなく、地域の特色や学校の実態、保護者や地域住民の意向などを十分に踏まえて、学校を設置する地方公共団体の教育委員会の適切な判断により行われることとし、その指定の手続については教育委員会において定めることが適当である。

(2)基本的な制度の内容
ア 学校運営協議会の設置
○ 学校運営への保護者や地域住民の参画を制度的に保障するための仕組みとして、教育委員会が、地域運営学校の運営について協議を行う組織(以下便宜上「学校運営協議会」という。)を設置することが必要と考えられる。
 学校運営協議会は合議制の機関であり、その委員としては、児童・生徒の保護者、地域住民のほか、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が適当と考える者のうちから、当該教育委員会において任命することが適当である。
 委員の数、構成、委員の任命の手続、任期、学校運営協議会の議事に関する事項等については、教育委員会規則において定めることになると考えられる。
 なお、委員は非常勤の公務員に位置付けられるものと考えられるが、教育の中立性や公正性を確保する観点から、例えば学校運営協議会の委員の任命に当たり守秘義務を課すことなども検討されるべきである。
イ 学校運営協議会の役割
○ 学校運営協議会の役割としては、
  ・学校における基本的な方針について決定する機能
  ・保護者や地域のニーズを反映する機能
  ・学校の活動状況をチェックする機能
が考えられる。
 すなわち、学校運営協議会には、例えば、学校における教育課程編成の基本方針、予算執行や人事配置等に関する基本方針等、当該学校の運営の大綱について、校長等の提案に基づいて承認を行うなど、学校における基本的な意思決定に関与する役割を果たすことが期待される。
 校長は、承認された基本的な方針に基づき、学校運営の責任者として具体的な事項について決定し、校務を行うこととなる。
 このように、学校の基本方針の決定等に当たり、校長は学校運営協議会に対し十分な説明を行い、相互に意見交換を行うことが必要となるが、この過程を通じて、保護者や地域住民が自らも学校運営に共同責任を負っているとの自覚を深め、校長を中心とした具体的な学校運営の支援に積極的にかかわっていくことが期待される。
 また、学校運営協議会の委員には、保護者や地域住民を代表する立場にある者として、学校に対する保護者の要望や地域ニーズを公平・公正に、かつ、幅広く把握・集約し、学校運営に反映させることが求められる。さらに、基本的な方針に照らした学校の教育活動の実施状況について絶えず目を配り、評価を行い、必要があれば改善を求めるなどの働き掛けを行うことなども期待される。
 このような権限を有する学校運営協議会には、自らの活動に関して、保護者や地域住民、教職員等の学校関係者に対して説明を行う責任が生じる。
 また、当該学校において所期の教育目標が十分に達成されないなどの場合には、委員の解任や学校運営協議会の解散などの形でその責任が問われるものと考えられる。
○ 学校にどのような校長や教職員を得るかということは、地域の意向を踏まえた特色ある学校運営の成否に特に重要な影響を与える問題である。
 このため、実践研究校のこれまでの研究においても、校長を公募し、その選考に学校運営協議会が関与したり、教職員の人事について要望を行うなどの取組が試みられてきたところである。
 こうしたことを踏まえ、地域運営学校においては、現在の校長による意見具申や市町村教育委員会による内申に加えて、学校運営協議会が校長や教職員の人事について具体的に関与することができるようにするとともに、人事に関し最終的な権限を持つ教育委員会においては、地域運営学校制度の趣旨にかんがみ、校長や学校運営協議会の要望等を可能な限り実現するよう努める必要がある。
 このために、例えば、学校運営協議会が、教職員の公募を求めたり、任用の候補者について要望するなど、学校運営協議会が人事について任命権を有する教育委員会に対して意見を述べることができ、当該教育委員会においては、その意見を尊重して人事を行うなどの仕組みを設けることが考えられる。
 この場合、市町村立小学校又は中学校の学校運営協議会においては、当該市町村教育委員会を経由して都道府県教育委員会に意見を述べることが適当と考えられる。
 なお、学校運営協議会から意見の申し出があった場合、市町村教育委員会は、地域運営学校制度の趣旨にかんがみ、特段の支障がない限り、その意見と同様の内申を行うこととなるものと考える。
平成20年
    4月


























































中央教育審議会


























































教育振興基本計画について
「教育立国」の実現に向けて


















































今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策を示すこととする。
 その際,取組の全般にわたり,以下のような考え方を重視する。
1「横」の連携:教育に対する社会全体の連携の強化
 教育は、個人により良く生きる力を与えるものであるとともに、社会全体の存立基盤を形づくる価値形成活動であり、国、地方公共団体、学校、保護者、地域住民、企業、社会教育団体、民間教育事業者、NPO、メディアなど、官・民を通じた様々な関係者の取組により成り立つものである。
 このうち、国、地方公共団体、学校、保護者等教育に直接携わる者に特に大きな責任があることは言うまでもないが、地域住民や企業等も、受身的な立場に止まることなく、自らも社会の一員として教育に責任を共有するとの認識の下、学校運営や教育活動に積極的に協力し、参画することなどが期待される。
 なお、学校については、ややもすれば閉鎖的になりがちで学校外からの協力を得ることについて消極的との批判も多い。学校や教育行政の側においてもこうした意識を改め、学校を広く様々な分野からの協力を得て地域に開かれたものにしていく努力が必要である。また、国や地方公共団体の行政部内においても、「縦割り」といわれる状況を改善し、一体となって教育に取り組む必要がある。
 同時に、今後の国際的な知識基盤社会において国や社会の活力の源泉となるのは「知」の力であることを考えるとき、教育をめぐる各主体がそれぞれの立場での責任を全うするのはもちろんのこと、それにとどまらず、「知」をはぐくむ教育の振興に向け、各主体が横の連携を強化し、社会全体で教育に取り組んでいくことが求められる。
 例えば、学校教育と社会教育、また、学校と地域との新しい連携の仕組みを構築することは、今後の重要な課題の一つである。こうした取組を通じ、社会の多様なニーズに応える学習機会が豊富に提供されるとともに、連携による相乗効果として、教育の質が一層高まることが期待される。
 社会全体で連携して教育に取り組むことは、一人一人の主体的な参画によるコミュニティづくりや、より良い社会づくりにも資するものである。同時に、社会の様々な世代の様々な主体が多様な形態で教育に関わることは、働くこと、社会とつながり、社会に参画することの意義を身をもって子どもたちに示し、将来に向けてその視野を広げ、生きる意欲を高めることにもなる。

2「縦」の接続:一貫した理念に基づく生涯学習社会の実現
 改正教育基本法において、新しい時代の教育の理念が明示されるとともに、これを踏まえ、学校教育法において、義務教育の目標や各学校段階ごとの教育の目標が改めて規定された。今後は、こうした理念の下に、生涯学習社会の実現に努める必要がある。
 これからの変化の激しい社会においては、学校教育段階はもとより、生涯を通じて自らを磨き、高めていくことが一層重要になる。一人一人が、より良く生きるための意欲と力を生涯にわたって鍛え、豊かなものにしていかなければならない。
 そのために必要な力として、これまで初等中等教育に関して「生きる力」を掲げてきた。また、高等教育については、「課題探求能力」の育成などが課題とされてきている。(略)
 個人の発達段階やそのとき置かれている状況等を踏まえつつ、だれもが若年期から高齢期まで生涯を通じて質の高い教育や学習に取り組み、その成果を生かすことのできる社会の実現を目指す必要がある。
 そのためには、それぞれの教育の役割や学校ごとの目標の達成に留意しながら、例えば、家庭教育と幼児教育、幼児教育と小学校、小学校と中学校、中学校と高等学校、高等学校と大学等の学校間、さらには学校教育と職業生活等との連携・接続の改善にとりわけ意を用いていく必要がある。また、いったん学校教育を終えた後や、途中で中断した後に、それぞれのニーズに応じて再度学校教育の場に戻ったり、様々な社会教育を受けたりする機会が設けられていることが重要である。(略)
平成25年
    4月






















































中央教育審議会

















































第2期教育振興基本計画





















































○教育行政の4つの基本的方向性
(1)社会を生き抜く力の養成
  〜多様で変化の激しい社会での個人の自立と協働〜
(2)未来への飛躍を実現する人材の養成
 〜変化や新たな価値を主導・創造し,社会の各分野を牽引していく人材〜
(3)学びのセーフティネットの構築
  〜誰もがアクセスできる多様な学習機会を〜
(4)絆づくりと活力あるコミュニティの形成
 〜社会が人を育み、人が社会をつくるきずな好循環〜

○絆づくりと活力あるコミュニティの形成に向けた学習環境・協働体制の整備推進
【基本的考え方】
○ 活力あるコミュニティが人々の学習を支え、生き抜く力をともに培い、人々の学習がコミュニティを形成・活性化させるという好循環の確立に向けて、地域の教育資源を結びつけ、学校や公民館等を拠点とした多様な人々のネットワーク・協働体制を確立する必要がある。
○ このため、全ての学校区において、学校と地域が連携・協働する体制が構築されることを目指し、社会全体で学校や子どもたちの活動を支援する取組や地域とともにある学校づくりを推進する。
 また、学校や公民館等の社会教育施設をはじめとする学びの場を核にした地域コミュニティの形成を目指した取組を推進する。さらに、高等教育機関においても、地域の学びの場としての生涯学習機能の強化を推進する。

○社会全体で子どもたちの学びを支援する取組の推進
・「学校支援地域本部」、「放課後子ども教室」などの取組を充実させ、保護者はもとより、地域住民の参画により子どもたちの学びを支援するための体制を、平成29年度までに全国の小・中学校区に構築する。
 また、このような取組を地域コミュニティの形成につなげていく活動を支援する。
○地域とともにある学校づくりの推進
・保護者や地域住民の力を学校運営に生かす「地域とともにある学校づくり」により、子どもが抱える課題を地域ぐるみで解決する仕組みづくりや、質の高い学校教育の実現を図る。
 このため、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の拡大や実効性ある学校関係者評価の実施の促進,学校裁量権限拡大の促進などの取組を推進する。
 あわせて、「地域とともにある学校づくり」に必要な学校マネジメント力の強化を図るため、マネジメント力をもった管理職・教職員の育成と配置、地域連携のためのコーディネート機能や事務機能の強化等を促進する。
・学校と地域・社会や産業界等とが連携・協働した教育活動の充実が図られるよう、「学校が望む支援」と「地域・社会や産業界等が提供できる支援」とのマッチングの促進などの取組を推進する。
○学びの場を拠点にした地域コミュニティ形成の推進
・公民館等の社会教育施設を拠点に、関係部局や関係機関が連携・協働しつつ、地域の課題解決に向けた講座等の学習や地域活動の支援等を地域コミュニティの形成につなげていく取組を推進する。
 あわせて、学校施設と社会教育施設等との複合化や余裕教室の活用を促進する。
さらに、地域コミュニティ形成の核となる、劇場、音楽堂等が行う活動への支援や、スポーツ基本計画に基づく地域のスポーツクラブの育成に取り組む。


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